GLOBAL MACRO WATCH
GLOBAL MACRO WATCH MONTHLY

インフレと長期金利が、AI相場の上値を縛り始めているのか

2026年6月上旬時点の米国中心マクロを、CPI、PCE、雇用、金利、TIC、住宅、AI集中相場から読む。投資家コメントは補助材料であり、主役はデータと市場の織り込み。

Generated2026-06-11T21:17:29+09:00
WindowMonthly read / based on 2026-06-09 local macro report
FrameInflation / rates / fiscal demand / AI concentration / market confirmation
Archive ID2026-06-11_global-macro-monthly-june-2026

結論

景気はまだ崩れていないが、インフレと長期金利がリスク資産の上値を縛る局面。

Current Read

景気後退待ちではなく、金利制約相場

雇用と消費は粘り、AI主導で株式は高値圏にある。一方で CPI/PCE は目標から遠く、Fed の利下げ余地は狭い。

Global Macro 的には「景気が崩れるか」より「インフレ、財政、国債需給が上値を縛るか」を見る。
Market Structure

AI集中と長期金利の綱引き

AI期待は指数を支えるが、長期金利と実質金利が高いままなら、高PER株と住宅、長期債には逆風が残る。

データ確認

ヘッドラインではなく内訳、前年比ではなく前月比年率、発言ではなく金利の反応を見る。

CPI+4.2% y/y5月。エネルギー主導で再加速、住居費とサービスも粘着。
Core PCE+3.3% y/y4月。Fed目標からまだ遠い。
Payrolls+172k5月。減速だが崩壊ではない。
10Y / 30Y4.55% / 5.01%6月上旬。長期金利が財政・インフレ制約を示す。
CPI Breakdown

CPIを構成要素に分解する

5月CPIの前年比。ヘッドラインの背後にあるエネルギー、ガソリン、住居、食品を分ける。

月次では、エネルギーが総合CPI上昇の6割超を占める。見立ては「コアは鈍いが、石油系ショックがヘッドラインを押し上げる」に更新。
Labor Pulse

雇用は減速、崩壊ではない

雇用者数、失業率、賃金を同時に見る。

Payrolls Unrate Wage +172k 4.3% 3.4% scale: current monthly snapshot, not a shared unit
Yield Curve

長期金利が下がらない

2年は Fed 織り込み、10年・30年は財政とインフレ制約を見る。

2Y 10Y 30Y 4.17% 4.55% 5.01% 3.5 5.0
Constraint Indicators

住宅と実質金利の制約

住宅ローンと TIPS 実質金利が、株式・住宅の上値を縛る。

higher bars = stronger financial constraint
Mortgage 10Y real Fed 6.48% 2.19% 3.50-3.75%

データ取得元

InDeep 的な「ソースの道筋」と同じく、見立ての入口になった公的系列と市場系列を分けて残す。

InflationU.S. Bureau of Labor Statistics / CPI News Release

CPI、コアCPI、エネルギー、ガソリン、住居、食品の内訳。ヘッドラインではなく構成要素を見る入口。

InflationBEA / Personal Income and Outlays

Core PCE。Fed が重視するインフレ系列として CPI とのズレを見る。

LaborBLS / Employment Situation

非農業部門雇用者数、失業率、平均時給、労働時間。雇用崩壊ではなく減速度を見る。

RatesU.S. Treasury / Daily Treasury Rates

2年、10年、30年金利。Fed 織り込みと長期の財政・インフレ制約を分けて読む。

Real RatesFRED / 10-Year TIPS Constant Maturity

実質金利。AI株、住宅、長期資産のバリュエーション制約を見るための系列。

HousingFreddie Mac PMMS / Mortgage Rates

30年固定住宅ローン金利。住宅需要と住居費再加速リスクを見る。

Capital FlowU.S. Treasury TIC Data

海外公的部門と民間部門の米国債需要。誰が米国債を買っているかを確認する。

Local Framesources/globalmacroresearch_jp/globalmacro_fred_watchlist.md

月次で見る系列のローカル watchlist。投資家コメントがない月でもデータ主導で更新するための土台。

ここではニュース記事そのものより、CPI/PCE/雇用/金利/実質金利/住宅ローン/TIC という系列を先に固定する。コメントは補助材料で、見立ての更新は公的データと市場価格の反応で行う。

テーマ別

価格を動かしている本当の原因を、ニュース見出しから切り離す。

U.S. Equities

AI主導の高値圏

S&P 500 は高値圏を維持。景気の全面的な強さというより、AI、名目成長、流動性、集中買いで支えられている。

Housing

住宅はまだ金利に縛られる

30年固定住宅ローンは6%台半ば。金利低下なら住宅と住居費の再加速、高止まりなら affordability 悪化という両面リスク。

Treasuries / Dollar

誰が米国債を買うのか

TIC では民間流入が支える一方、公的部門の米国債需要は弱い。長期金利が下がらないなら、景気より国債需給の相場に移る。

外れ条件

月次レポートは予想ではなく、現在の読みを更新するための反証リストを持つ。

Disinflation Case

インフレが明確に鈍化する

6月以降の CPI/PCE でエネルギー、住居費、サービスが鈍化し、実質金利を高く保ったままインフレが下がる場合。

Recession Case

雇用が急速に悪化する

Fed がインフレより景気を優先せざるを得なくなるほど雇用が悪化すれば、金利制約相場から景気後退相場へ移る。

次回見るもの

投資家コメントはあれば拾う。無ければデータと市場価格を主役にする。

Monthly Checklist
  • CPI/PCE: 住居費、サービス、前月比年率。
  • 雇用: 平均時給、労働時間、賃金総額、長期失業。
  • 金利: 2年、10年、30年、10年TIPS実質金利。
  • 資金フロー: TIC、国債入札、海外公的部門、民間需要。
Market Confirmation
  • AI株が指数を支え続けるか、幅広い銘柄へ広がるか。
  • 株安の日に長期債が買われるか、ドル・債券も売られるか。
  • 金、原油、ドル、長期金利が同時に何を示すか。
  • 投資家コメントが出た場合、データと整合するか。